金銭,住宅,教育,就労,権利擁護,福祉サービスなど。障がい当事者の抱える問題は複雑かつ多様化し,関係機関(支援者)の協力体制がなければ,一人の障がい者を支えることが困難な状況は現実問題としていくつもあります。実はこのような障がい福祉関係者のネットワークの必要性は障害者自立支援法が施行されるずっと以前から叫ばれていたところです。
倉敷市を含む岡山県備中県民局管内では,支援費制度が始まった平成15年から当時の倉敷地方振興局(現備中県民局)を中心に障がい当事者を取り巻く障がい福祉関係機関が集まり,ネットワーク構築,情報や地域の課題を共有する目的の「ネットワーク会議」が定期的に開催されていました。
倉敷地域自立支援協議会は,全く白紙の状態からスタートを切ったのではなく,この「ネットワーク会議」という顔の見える関係が土台にあります。倉敷地域生活支援センターを事務局に置き,新しくハローワークなどを加えて,倉敷市と早島町を圏域とする人口50万人規模の大きな自立支援協議会が平成19年3月に誕生しました。
設立当初は,自立支援協議会に求められる役割や機能について,はっきりとした展望はありませんでした。他の地域でも自立支援協議会がどんどん立ち上がっていく中で,焦りがなかったわけではありません。協議会会長の選任,協議会規約作成,全体会議,部会活動など。各地の自立支援協議会が体系的に組織されるのを意識しないわけはありませんでした。
しかし,参加メンバーの自己紹介だけでおおよその時間が割かれ,参加している人が何で呼ばれているのか分からないような中身の伴わない会議を運営する気はありません。そのような眠たい会議は掃いて捨てるほどありますが,障がい福祉という多忙な業界に,眠たい会議は必要ありません。ですから,いきなり形から入ることはしませんでした。協議会会長も,規約もないまま。不安要素たっぷりに倉敷地域自立支援協議会はスタートしました。