障害者自立支援法は制度自体が分かりづらいという大きな欠点を抱えています。国の担当者から県の担当者に,県の担当者から市町村の担当者や事業所に,市町村の担当者や事業所から利用者に。まるで伝言ゲームのように伝わっていく過程で最終的に制度を利用する人にはチンプンカンプンなんて話はざらですよね。「いったいどこに相談したらいいのか分からない」という声もよく耳にします。
戸枝さんのアドバイスにもあったとおり,まずは相談窓口を明確にするところから始めました。
例えばこんな5人家族に遭遇したらあなたはどうしますか。
○祖父=痴呆の症状があり介護が必要な状態
○父=リストラに遭って現在求職中
○母=祖父の介護と子育ての疲れが極限状態でうつ状態
○長男=知的障がい
○次男=広汎性発達障がいとの診断
ここまで重たいケースはレアですが,こんな状況の家庭の困りごとの相談をあなたの課の窓口やあなたの事業所で受けたとして,担当者ができることは何でしょうか?おそらく,誰もこのような重たいケースをひとりで抱えることはできないですよね。
こういうケースを一人で或いは一機関で抱え込まない仕組みこそ自立支援協議会です。まずは,相談窓口に繋ぐところから。もちろん相談窓口となる相談支援事業者が全て解決できるわけではありません。相談支援事業者を中心に支援者が集まって,解決への糸口を見出す丁寧な作業が必要になります。これがケア会議です。
この家庭の支援者の候補としては,介護保険事業所,ハローワーク,精神科病院,特別支援学校,障がい福祉サービス事業所,発達障がい者支援センター,障がい者支援センター,市町村障がい福祉担当課,市町村介護保険担当課,教育委員会etc…。
ケア会議では例えば次のようなことが話し合われます。
それぞれの役割を明確にして支援体制を組み立てる。つまり一つの家族を支える設計図を作成するのです。